7歳の誕生日から始まったレーシングキャリア
ペイジ・ラダッツのモータースポーツ人生は、7歳の誕生日から始まった。
その日、彼女が受け取ったのは、初めてのゴーカートとレーシングスーツ。オーストラリア・シドニーで育ったペイジは、幼い頃からサーキットに通い、国内レベルで戦う数少ない女性ドライバーのひとりとして、着実に存在感を高めてきた。ASF(Australian Sports Foundation)のプロフィールでは、Rotax Max Pro Tourで女性として初めてラウンド優勝を果たしたこと、8度のAustralian Ladies Karting Championに輝いたこと、さらにナショナル耐久カートでの優勝など、数々の実績が紹介されている。
「私のモータースポーツの旅は7歳の時に始まりました。7歳の誕生日にゴーカート場へ行って、それが誕生日プレゼントだったんです」
レースを始める大きなきっかけになったのは、父と兄の存在だった。ふたりともレースをしていたため、ペイジにとってサーキットは幼い頃から身近な場所だったという。
「一番のインスピレーションであり、モチベーションになったのは、父と兄です。ふたりともレースをしていたので、私は本当に小さい頃からずっとサーキットにいました。だから、いつも自分もやりたいと思っていました」
日本で得られる、これまでにない経験

2025年、ペイジはインドF4に3ラウンド参戦し、オープンホイールの世界へと歩みを進めた。ASFのプロフィールによれば、ルーキーイヤーながら国際的なドライバーたちを相手に複数回トップ10フィニッシュを記録している。
そして2026年、彼女が新たな挑戦の舞台に選んだのがKYOJO CUPだ。
「長期的なキャリアのことを考えた時に、さらに経験を積むためには、これが自分にとって最高のチャンスだと思いました。トライアウトを終えて、オファーをいただいて、自分にとっても家族にとっても大きな決断でした。でも、ここで多くのことを学べると思っています。それが一番大切なことです」
オーストラリアと日本のレース環境の違いとして、ペイジがまず挙げたのは、グリッドの大きさだった。
「今年一番大きな違いになると思うのは、1レースに出る台数の多さです。20台以上が出走するので、とても大きなグリッドになります。オーストラリアのフォーミュラレースでは、グリッドはもっと小さいんです」
多くのライバルと同じフィールドで戦うこと。女性ドライバーだけのシリーズに初めて挑むこと。そのひとつひとつが、ペイジにとって新しい経験になる。
目標は表彰台。そして、クルマに自信を持って乗ること

ペイジの強みは、自分を前に進ませる力だ。悪いレースや難しい週末があっても、そこから戻ってきて、さらに強くなる。彼女はそれを「モチベーション」と表現する。
「自分の強みは、モチベーションだと思います。たとえ悪いレースや悪い週末があっても、私は必ず戻ってきて、さらに強くなろうとします。自分に言い聞かせる力もありますし、それがモータースポーツの厳しい日々を乗り越える助けになっています」
2026年に重点的に取り組みたいのは、日本でのレースクラフトを学ぶこと。そして、富士スピードウェイというサーキットを自分のものにすることだ。
「一番伸ばしたいのは、日本でのレースクラフトを学ぶことです。女の子たちがどう一緒にレースをするのかを知りたいですし、富士のように大きなサーキットを学ぶことも、とても大きなチャレンジです」
ペイジは、富士スピードウェイについて「本当に好き」と語る一方で、その高速さに強い印象を受けている。
「富士は本当に良いサーキットで、とても好きです。でも、非常にハイスピードなので、私にとっては今までとかなり違うものに感じられます。慣れてくれば、高低差や高速域での走りも、もっと組み立てられるようになると思います」
今季の目標は、はっきりしている。
「大きな目標のひとつは、表彰台に立つことです。そして、クルマに乗った瞬間から快適に、自信を持って走れるようになること。経験を積みながら、それを学んでいきたいです」
女性ドライバーを育てる場所としてのKYOJO CUP

ペイジにとって、KYOJO CUPはこれまで経験したことのないシリーズでもある。
「私にとって、とても大きな意味があります。女性だけのシリーズに出るのは初めてなので、こういうシリーズを作るために努力してくださったことに、とても感謝しています。本当に素晴らしいチャンスだと思います」
KYOJO CUPが女性ドライバーを支え、育てる場所であることについても、彼女は強い意味を感じている。
「とても重要だと思います。このシリーズには、チームを含め、私たちが成長できるようにたくさんの支えがあります。とても大きなことで、とても大切なことです。シリーズは毎年もっと大きくなって、もっと良くなっていくと思います」
フォーミュラに関しては、ペイジ自身、まだルーキーだという意識を持っている。
「フォーミュラレースでは、私はまだルーキーです。これまで3レースしか走っていません。モータースポーツには長く関わってきましたが、フォーミュラはまだ新しいんです」
だからこそ、KYOJO CUPでの1年は重要になる。経験豊富なチーム、20台が並ぶグリッド、富士スピードウェイという舞台。そこで得るひとつひとつが、彼女の次のステップを作っていく。
自信を持って、次の一歩を踏み出す

新しいシーズンに向け、ペイジはオーストラリアで準備を重ねてきた。
「オフシーズンには、Focus Driver Performanceという施設でトレーニングをしました。2日間のキャンプでは、フィットネス、ドライビング、認知テストなどを実施しました。シドニーのトレーニングセンターでジムにも通いましたし、シミュレーターも週に数時間行っています」
チームについても、彼女は大きな信頼を寄せている。
「まず、チームは私にレースをする機会を与えてくれました。それだけでもとても大きなことです。今年は2台体制になり、チームの皆さんはとても多くの経験を持っています。メカニックの中には、とても高いレベルのドライバーと仕事をしてきた人もいます。だから、この1年で自分を成長させてくれると思っています」
日本での生活については、「文化が素晴らしく、人々がとても温かい」と語る。もちろん、故郷を離れる難しさはある。それでも日本で過ごす時間は、ペイジにとってすでに特別なものになりつつある。
「家を離れるのは大変ですが、日本は本当に素敵な場所です。文化が好きですし、人々もとても温かい。食べ物も大好きで、特にお寿司が好きです」
最後に、モータースポーツを目指す若い女性たちへのメッセージを尋ねると、ペイジはこう答えた。
「次の一歩を踏み出すこと。考えすぎないこと。そして、やるなら全力で取り組んで、ベストを尽くすこと。女性は時に自信を失ってしまうこともあると思います。だからこそ、自分のやることに、いつも自信を持っていてほしいです」
オーストラリアで磨いてきた速さを、KYOJO CUPという新しい舞台で、次の力へ変えていく。
ペイジ・ラダッツの日本での挑戦が、いよいよ始まる。