彼女の素顔

INTERVIEW

Vol.11

Itsumo Shiraishi

悔しくて泣いて、また走って。
元気印の大学生が見せる「新しい自分」

Itsumo Shiraishi

新しいチーム、新しい注目の中で迎える2年目




2026年、白石いつも選手はTeam ReFaの一員としてKYOJO CUPの新シーズンを迎える。

銀座の一等地に建つReFaのグローバルフラッグシップストアで実施された新チーム発足発表会は、多くの関係者やメディアが集まる、KYOJO CUPにとっても新しい景色を感じさせる場だった。白石選手自身も、その注目の大きさに驚いたという。

「とりあえずびっくりしています。何より、サポートしてくださる方が増えるのはすごくありがたいことですし、そこに参加させてくださった監督にも感謝しています」

発表会では、終始緊張していたと振り返る。

「前例がないというか、チームとして初めて大きく発表する場でしたし、何より人が多かったので、すごく緊張しました」

それでも、注目が高まることを白石選手は前向きに受け止めている。

「嬉しいです。サーキットに来てくれる人も、新しい層が増えたらいいなと思います。応援してくださる人が増えるのは、走るうえでの糧になります」

2026年に見せたいものは何か。そう尋ねると、白石選手は少し考えながら、こう答えた。

「狙うなら去年よりも上の順位ですし、チームでのワンツーも狙っていきたいです。去年と今年の違いを見てほしいですし、去年に続き、元気に走りたいです」

元気に走る。

その言葉は、彼女のキャラクターをよく表している。海外遠征では“ALWAYS”とネームプリントされたレーシングスーツを着る白石選手は、いつもユーモラスでまわりをパッと明るくする。けれど、ただ明るいだけではない。そこには、悔しさも、成長したい気持ちも、去年とは違う自分を見せたいという思いも込められている。


最終戦で残した爪痕と、悔しさを越えてきた経験




白石選手がKYOJO CUPで大きく存在感を示したのは、2024年の最終戦だった。

過去最多の37台が参加したそのレースで、終盤の第2集団による6番手争いは大きな見どころのひとつだった。そのバトルを制し、6番手を奪取したのが白石選手だった。

11歳からカートを始めた白石選手は、2023年のROTAX MAX Festivalシニアマックスクラスで2位、2024年全日本カート選手権EV部門では女性ドライバー最上位となり、DUNLOP賞を受賞するなど、男女混戦の中で経験を重ねてきた。

一方で、順調なことばかりではなかった。高校時代には、思うように結果が出なくなり、カートが楽しいと思えなくなった時期もある。HRSでも自分の現在地を突きつけられ、自信を失った。カートを辞めようかと一人で悩んだこともあった。

それでも白石選手は、走ることをやめなかった。

「辞める勇気もないし、続ける自信もないし。乗ること自体がイヤになったカートだったけれど、乗りまくることで結果を出して壁を乗り越えました」

その経験は、今の白石選手の根っこにある。

「悔しくて泣いて、リセットして、また走って、という感じです」

明るい笑顔の裏には、そうやって壁を越えてきた時間がある。だからこそ、白石選手の“元気”には、ただの無邪気さだけではない、前へ進み続ける強さがある。


注目されることを、走る力に変えて




Team ReFaとして迎える2026年は、白石選手にとって、これまで以上に注目を集めるシーズンになる。

美容ブランドであるReFaの存在は、KYOJO CUPに新しい層を呼び込む可能性もある。発表会ではヘアカラーやカットまでサポートされ、本人も「すごく手厚かった」と笑顔で振り返った。そうした華やかさも、Team ReFaの大きな特徴だ。

しかし、白石選手が見てほしいのは、華やかさだけではない。

「去年と今年の違いを見てほしいです」

昨年より上の順位へ。
チームでのワンツーへ。
そして、自分らしく元気に走ること。

三浦愛選手という経験豊富なチームメイト兼監督の存在も、白石選手にとって大きな力になる。三浦監督がすぐそばで教えてくれる環境は彼女にとって「貴重な体験」という。

KYOJO CUPのフォーミュラマシンについては、「カートを思い出す感じ」と話す一方、スピードやパワー、ハンドルの振動の違いに驚いたことも明かす。

その中で、白石選手は自分のペースで少しずつ成長してきた。2026年は、さらにそこから一歩進む年になる。


将来は、男性の中でも戦えるドライバーへ




白石選手は、自分の将来について、はっきりとしたイメージを持っている。

「今は女の子としか戦っていないので、やっぱり男の人の中でも戦えるドライバーになれたらいいなと思っています」

具体的に「この人になりたい」という存在がいるわけではない。だが、スーパーフォーミュラで戦うドライバーたちへの憧れは大きいという。

「スーパーフォーミュラに乗っている方々への憧れはすごいです」

その一方で、白石選手にはもうひとつの顔がある。絵を描くことが好きで、神戸松蔭女学院大学のデザイン系の学科に通ってグラフィックやCGを学んでいる。今回のインタビューでも、イラストやグラフィックへの思いを楽しそうに語った。

「もともとイラストを描くのがすごく好きで、本当はイラストの専門学校に行こうとしていたくらいです。でも、グラフィックやCGも勉強したいなと思って。ウェブ系はパソコンがあればできるので、レースと両立しやすいかなとも思いました」

レーサーとして走りながら、クリエイティブな学びも続けていく。
その自由さも、白石選手らしい魅力のひとつだ。


「始めないと、何も始まらない」




これからレーシングドライバーを目指す子どもたちへ、どんな言葉をかけたいか。そう尋ねると、白石選手は自分がレースを始めた頃を思い出すように答えた。

「私も最初は、全く知らない世界でした。父に誘われて、本当にたまたま走れたというだけなので。とりあえず最初は、始めてみたら楽しいんじゃないかなって言ってあげたいです」

そして、こう続けた。

「始めないと、何も始まらないから」

その言葉は、白石選手自身の歩みにも重なる。

たまたま始めたレースが、やがてカートでの実績につながり、挫折を越え、KYOJO CUPへと続いてきた。今はTeam ReFaの一員として、大きな注目の中で新シーズンを迎えようとしている。

走行前には水を7口飲み、必ずトイレに行く。そんな可愛らしいルーティンも、白石選手らしい。サーキットでは緊張も悔しさもある。それでも、泣いてリセットして、また元気に走る。

2026年、白石いつも選手が見せたいのは、去年とは違う自分。
新しいチーム、新しい応援、新しい注目を力に変えて、白石選手は今年も、自分らしく元気にコースへ飛び出していく。