彼女の素顔

INTERVIEW

Vol.16

Mako Hirakawa

ラリーの夢へ向かう途中で、KYOJO CUPを走る理由。
限られた3戦で、恩返しを

Mako Hirakawa

フォーミュラ初年度で得た経験
思うようにいかない中で、何を考えて走るかを学んだ




2025年、KYOJO CUPはフォーミュラへと生まれ変わった。平川真子選手にとっても、それは新しい挑戦の始まりだった。

平川選手は、サーキットとラリーというふたつの舞台で戦うドライバーだ。大きな目標は、海外で活躍できるラリードライバーになること。その一方で、KYOJO CUPに出るからには、もちろん勝ちたいという思いを持って2025年のシーズンに挑んだ。

だが、初めてのフォーミュラは簡単ではなかった。

「もちろん優勝したいという気持ちで挑んだんですけど、初めてのフォーミュラということもあって、苦戦する場面も多かったです」

周囲には、これまでライバルとして戦ってきたドライバーたちがいた。その選手たちが表彰台争いをしている姿を見れば、「もっと速く走らなければ」というプレッシャーも感じる。だからこそ、2025年は平川選手にとって、結果だけでは測れない意味を持つ一年だった。

「自分の目標に向けて、一個一個経験を積み重ねる年になったと思います」

思うようなタイムが出ないこともあった。悔しいレースもあった。だがその中で、大切なことをたしかに学びとった。

「練習や予選、決勝で一個一個目標を持ってこなすことが大事だと実感しました。ドライバーとして何を考えてレースに向けていくのか、レースに挑むのかを教えていただいた一年だったと思います」

フォーミュラ初年度は、ただ速さを競うだけの年ではなかった。
どう準備し、どう考え、どう次につなげるか。平川選手はそのプロセスを、自分の中に少しずつ積み重ねてきた。


ラリーで得たものをサーキットへ
サーキットで得たものをラリーへ




2026年、平川選手は再びKYOJO CUPに参戦する。ただし、今季もラリーとの両立になるため、スケジュールの都合で出場は3戦に限られる予定だ。

限られたチャンス。その中でも、目標は変わらない。

「3戦しか出られないんですけど、その中でもやっぱり優勝したいという気持ちは変わらないです」

平川選手にとって、サーキットとラリーは別々の世界でありながら、完全に切り離されたものではない。走る環境も、求められる対応力も違う。それでも、クルマを速く走らせるという本質は同じだ。

「サーキットとラリーで走らせ方は違うかもしれないんですけど、ひとつの車というのは変わらないので、どうやったら誰よりも速く走らせられるのかを常に考えています」

ラリーで得た感覚がサーキットに生きることもある。逆に、KYOJO CUPで学んだことがラリーにつながることもある。だからこそ平川選手は、限られた一戦一戦を大切にしたいと考えている。

「サーキット、ラリー両方に活きることは本当にたくさんあるので、そういったところをどんどん模索しながら、考えながら、大切に参戦したいと思います」

KYOJO CUPは、彼女にとって単なるサーキットレースではない。
世界で活躍できるラリードライバーになるという目標へ向かうための、大切な経験の場でもある。


大切にしているのは平常心
一喜一憂せず、冷静に走ること




平川選手の強みは何か。そう尋ねると、返ってきた答えはとても短かった。

「平常心です」

それは、以前から平川選手が大切にしてきた言葉でもある。サーキットでもラリーでも、予期せぬことは必ず起きる。思い通りの走りができない時もあれば、突然状況が変わることもある。そんな中で感情に振り回されず、目の前の状況を冷静に受け止めること。それが、平川選手の走りを支えている。

2025年のKYOJO CUPでは、思うような結果が出ない場面もあった。周囲の速さに刺激を受け、焦りやプレッシャーを感じる瞬間もあった。それでも、自分の目標に向けて一つずつ経験を積み重ねることを選んだ。

ラリーでは、目の前にライバルが見えるわけではない。変化する路面、見えないタイム差、想定外の状況。その中で冷静に走り続ける力は、サーキットでも生きてくる。

平常心とは、気持ちを抑えることだけではない。
自分のやるべきことを見失わず、次の一手を考え続けること。

サーキットとラリーの両方で経験を積む平川選手にとって、それはどちらの舞台でも変わらない、大切な武器だ。


温かいチームに、結果で恩返ししたい
目標は、出場する3戦すべてで表彰台




平川選手は、NTT docomo Business ROOKIEチームの一員としてKYOJO CUPを戦う。ROOKIE Racingという大きなチームの中で走れることに、平川選手は深い感謝を抱いている。

「本当にチームの皆さんが温かくて、去年思うような結果が出なくても、すごく前向きに頑張ろうって背中を押してくださいました」

結果が出ない時に、どう受け止め、どう支えてくれるか。そこに、チームの力が表れる。平川選手にとって、チームはただクルマを用意してくれる存在ではない。苦しい場面で背中を押し、良い結果が出た時には一緒に喜んでくれる存在だ。

「表彰台に乗れた時は一緒になって喜んでくださったり、辛い場面でも本当に助けていただいたので、今年は3戦全部表彰台に乗れるように、チームの皆さんに恩返しができるように頑張りたいです」

2026年は、出場できるレースが限られる。だからこそ、1戦ごとの重みは増す。すべてのレースで、チームに結果で応えること。それが平川選手の大きな目標だ。

レースは一人で走っているように見えて、決して一人ではない。
支えてくれる人たちの思いを背負いながら、平川選手は今年もグリッドに向かう。


未来の女性ドライバーが増えていくために
「何事も挑戦」と伝えたい




平川選手は、KYOJO CUPには約5年にわたって参戦してきた。シリーズを見続けてきたからこそ、近年の変化も実感している。

2026年のKYOJO CUPには、新しいドライバーも加わる。海外からの参戦、若い才能、さまざまな経歴を持つ選手たち。グリッドの顔ぶれは、年々広がっている。

「海外の選手もそうですけど、未来の女性ドライバーがすごく増えているんだ、というのを実感しました」

だからこそ、自分もその流れに貢献したいと平川選手は考えている。

「私が走ることで、こんな選手になりたいと思ってもらえるようなドライバーになりたいです」

これからレースを始めたいと思っている子どもたち、未来のドライバーたちへ、どんな言葉をかけたいか。そう問うと、彼女らしいまっすぐの答えが返ってきた。

「何事も挑戦」

迷う前に、まずやってみる。自分の感覚を信じて、一歩を踏み出してみる。

「自分の感覚を信じて。何事も挑戦って感じですね」

ラリーとサーキット。異なるふたつのフィールドで走り続ける平川選手自身もまた、その言葉を体現している。

KYOJO CUPで、ラリーで、そしていつか海外で。
平常心を胸に、ひとつひとつの経験を積み重ねながら、平川選手は自分の可能性を広げていく。

2026年、限られた3戦で目指すのは、すべて表彰台。
その一戦一戦が、世界へ向かう道の途中にある。