彼女の素顔

INTERVIEW

Vol.40

織戸 茉彩

練習でマイレージを稼いで本番のバトルにつなぎ
少しでも上位を目指せるよう、フォーミュラに集中!

織戸 茉彩

チーム一丸となってVITAと対峙し
手応えを感じたKYOJO CUP 2024


織戸茉彩選手(以下、茉彩選手)は、スーパーGT等で活躍するベテランレーサー“MAX織戸”こと、織戸学選手を父に持つ2世ドライバーだ。生まれたときからモータースポーツが身近にある環境で育ったが、意外にもレースデビューは20歳のとき。2021年のヤリスカップを経て、KYOJO CUPには2022年から参戦している。

「昨年は自分たちのチームである『MAX  ORIDO RACING TEAM』で、KYOJOの全6戦に挑みました。マシンのセッティングからウイークポイントの克服に向けた練習まで、チーム一体となって取り組めたのは良かったですね。VITAに真っ直ぐ向き合ったことで、それまで以上に車両に対しても愛着が持てた一年でした。」

10月に開催された第5戦ではしっかり爪痕を残した。決勝で、茉彩選手は自己最高位となる12番手からスタート。30台のVITAがせめぎ合う中、序盤ではアグレッシブなバトルを展開しながらポジションアップし、最終的にシングルでフィニッシュした。シーズン戦績は振るわなかったが、レーシングキャリアの浅い中で茉彩選手は大健闘した。

「やっぱり予選の順位ってすごく重要で。上の方の順位で決勝をスタートできると、当然ながらトップ集団とのバトルにチャレンジできる。それでいいレースができたかなって感じです。
振り返ってみると、バトルで競り負けてしまうことが課題だった2023年よりも、強い気持ちで向かっていけたという点で少しは成長できたのかもしれませんね。」

憧れだったフォーミュラカーに
最強のチームでチャレンジする気概


富士スピードウェイでVITAの感触を掴みながら、2025年からKYOJO CUPに新型フォーミュラマシンが導入されるという噂を耳にし、茉彩選手の胸が騒いだ。
「フォーミュラは、レーサーなら誰もが乗ってみたい憧れの車両です。普段、公道で見かけることのない夢のレーシングカーですから、車両変更の話を聞きつけ、すぐ『乗りたい!』と。それでいろんな方にお話をして、アピールしていました。」

そんな茉彩選手に、フォーミュラ選手権にも参戦しているTGM Grand Prix(以下、TGMGP)から声がかかった。

「フォーミュラカーは父も乗っていないので、余計に遠い存在だったんです。それがご縁をいただいてTGMGPさんで乗らせていただけることになって、すごく光栄ですし、ありがたいですね。このチームから2台体制でKYOJO フォーミュラに挑むんですが、チームメイトがいる経験も初めてのことで。同じTGMGPの池島実紅選手はフォーミュラでのレースキャリアもあって、いろいろと教えていただけるのがとても心強いです。素晴らしい環境のチームで戦えるという意味でも、楽しみな一年です。」

フォーミュラでのKYOJO CUPは、車両を事務局が一括管理するイコールコンディションのもとでレースが開催される。走行練習で茉彩選手は、カート経験のある選手の速さに不意を突かれた。

「イコールコンディションはドライバーの腕の差が明確に出てきますよね。見方を変えれば、自分に足りなかった部分も分かるので、そうした点も楽しみなところです。自分にできることは、まず車両に慣れること。あとはサーキット以外でできる筋トレやシミュレーターにも力を入れつつ、去年よりももっとレーシングにフォーカスしていければと思っています。」

新生KYOJO CUPの魅力を
インフルエンサーとして発信していく


女性レーサーであると同時に、車の楽しさを若い世代や女性に伝えるインフルエンサーとしても活動している茉彩選手。

「KYOJO CUPの車両がフォーミュラに変わったことで、今まで以上にレースの魅力を幅広い方々にアピールしやすくなったと感じています。フォーミュラはやはり名称も見た目も馴染みがありますから。」

今シーズンからTOYOTA GAZOO Racingとホンダ・レーシングのサポートを受け、KYOJO CUP自体もパワーアップしている。
「世界で見ても女子だけで競い合うレースなんて希少だと思うんですが、それが女子だけのフォーミュラレースですから、新生KYOJO CUPは一層盛り上がっていきそうですね。スーパーフォーミュラとの併催もあり、ますます注目されていくカテゴリーになるんじゃないかなと思います。」

モータースポーツファンから熱い視線が集まり、茉彩選手も気が引き締まるところだ。
「今は練習を重ねてマイレージを稼ぎ、しっかりバトルできるよう準備していきたいです。今年はフォーミュラに集中して、少しでも上のポジションを目指します。」